流山市立附属幼稚園の廃園議案はなぜ継続審査になったのか 議案第37号の内容と争点
教育福祉委員会は議案第37号を2対3で「否決すべきもの」と判断しました。6月24日の本会議では、議員が提出した議案撤回を求める動議が賛成多数で可決されました。しかし、市長は「議案第37号について撤回する考えはございません」と述べ、撤回を拒否しました。これを受け、議員側から継続審査と教育福祉委員会への再付託を求める動議が改めて提出され、賛成多数で可決されました。この記事では、この手続の経過、市が廃園を提案した理由、委員会で示された疑問、過去の陳情採択との関係、今後確認すべき点を整理します。
投稿日 2026年6月29日 / 更新日 2026年7月13日 / 公式情報確認日 2026年7月13日
まず確認したい4点
議案第37号の現在地
廃園はまだ決定していません
議案第37号は本会議で継続審査となっており、附属幼稚園を2028年3月末で廃止する条例案に最終結論は出ていません。
委員会では2対3で否決すべきものと決定
2026年6月17日の教育福祉委員会は議案本体を2対3で否決すべきものとしました。その後、6月24日の本会議は最終採決を行わず継続審査としました。
議会の撤回要求に市長は応じませんでした
本会議では議案撤回を求める動議が賛成多数で可決されましたが、市長は撤回しないと表明しました。その後、継続審査と委員会への再付託を求める動議が可決されました。
争点は園児数だけではありません
判断基準、募集や教育内容の改善、要配慮児の受け皿、教育研究機能、保護者との対話、廃園後の施設利用も審議上の論点です。
過去に見直し・存続を求める陳情を採択
流山市議会は2024年、廃園方針の見直しを求める陳情と、公立幼児教育施設の存続を求める陳情をそれぞれ採択しています。
CURRENT STATUS
1. 現在の状況
2026年7月13日時点で、議案第37号は継続審査中です。附属幼稚園の廃園は決定しておらず、今後あらためて委員会で審査されます。
本会議では、森田洋一議員が議案第37号の撤回を求める動議を提出し、賛成多数で可決されました。しかし、井崎市長は議案を撤回しないと表明しました。議会が撤回を求める動議を可決しても、提出者である市長が撤回しなければ、議案そのものが自動的に取り下げられるわけではありません。
市長が撤回を拒否したことを受け、おだぎりたかし議員が継続審査と教育福祉委員会への再付託を求める動議を提出しました。この動議が賛成多数で可決されたため、廃園の可否を決める最終採決は行われず、議案は継続審査となりました。先に教育福祉委員会が議案第37号を2対3で「否決すべきもの」とした判断も、今後の審査に残る重要な経過です。
WHAT THE BILL CHANGES
2. 議案第37号で何が変わるのか
議案第37号は、附属幼稚園を2027年度末で廃止し、2028年4月1日から関連する条例規定を削除・整理する内容です。可決された場合の変更点は次のとおりです。
現在
流山市幼児教育支援センターに附属幼稚園が置かれ、4歳児・5歳児を対象に運営されています。
2026年秋の募集
2027年度に在園する5歳児のみを募集する予定です。卒園前に廃園を迎える園児を生じさせないための募集計画と説明されています。
廃園予定
2028年3月31日をもって附属幼稚園を廃止し、改正条例は2028年4月1日に施行する案です。
条例上の変更
附属幼稚園に関する規定、幼稚園長・副園長などの関連規定を削除し、流山市立幼稚園協議会条例を廃止します。
支援センター
幼児教育支援センター自体は存続させる方針です。附属園の活動を前提とした文言は「幼児教育のための」へ改められます。
CITY'S EXPLANATION
3. 市が廃園を提案している理由
市と教育委員会は、園児数の減少と集団教育上の懸念、私立園等での受け入れ支援、幼児教育支援センターの継続を主な背景として示しています。ここでは市側の説明をそのまま整理します。
- 園児数の減少 定員60人に対し、在園児数は2018年度の47人から2026年度は12人(4歳児4人、5歳児8人)に減少したとしています。
- 集団教育への懸念 同年代の幼児が集団生活を営み、協同性を育てる教育において、少人数化による懸念があると説明しています。
- 市内の受け入れ 私立幼稚園や認定こども園などを含め、市内の幼稚園需要に対応できるとの考えを示しています。
- 要配慮児への支援 2025年度から私立幼稚園等要配慮児童受入支援補助金を開始し、就園相談などの体制も整えたとしています。
- 支援センターは継続 相談、研修、幼保小連携、架け橋期教育などを担う幼児教育支援センターは継続するとしています。
これらが市側の主な説明です。一方、委員会では、人数の減少だけでなく、判断基準、改善策、受け入れの実効性、研究機能、対話の過程などが問われました。
POINTS AT ISSUE
4. 委員会で問題になった主な論点
委員長報告や委員会資料で確認できる内容を、事実、市の説明、審議で示された疑問、資料上の未確認事項に分けて整理します。
廃園判断の基準は事前に示されていたのか
園児数が減っている事実と、どの段階で廃園を選ぶかという行政判断は分けて考える必要があります。
- 在園児数は2018年度47人から2026年度12人へ減少しています。
- 委員長報告には「何年連続で何人以下なら廃園を検討する」といった基準を示す必要があったとの反対討論が記録されています。
- 市は園児数の推移と集団教育上の懸念を廃園提案の背景として示しています。
- 人数基準と対象期間が、判断前に市民や議会へ示されていたのか。
- 基準がない場合、今回の園児数をどのような手順で廃園判断へ結び付けたのか。
- 議案書・委員会配布資料には、廃園を判断する明文化された人数基準や継続年数は確認できません。
園児を増やすための改善策を十分に検討したのか
園児数を理由にする前に、募集やサービスの改善をどこまで検討したかが問われました。
- 市は園庭開放、未就園児交流、体育・音楽指導などの活動を実施しています。
- 過去のパブリックコメントや陳情では、3年保育、給食、預かり保育、認定こども園化などを求める意見が出ています。
- 市は幼稚園需要自体が減少傾向にあり、市内私立園の定員にも余力があると説明してきました。
- 3年保育、給食、預かり保育、園バス・通園支援を比較検討した結果は何か。
- 園の特徴や支援内容の発信、園児募集の方法をどこまで改善したのか。
- 各改善案の費用、実施可能性、園児増加への効果を横並びで比較した資料は、今回確認した議案・委員会資料では確認できません。
「21人以上30人ほど」は廃園の法的基準なのか
市資料が引用する教育上の考察と、法令上の学級編制基準は同じものではありません。
- 市資料は、4・5歳児は「21人以上30人ほど」の集団が適切だとする研究上の考察を示しています。
- 文部科学省の2026年資料で確認できる幼稚園設置基準は、1学級の幼児数を原則35人以下とする上限規定です。
- 市は、集団形成や協同性を育てる教育の観点から、現在の少人数状態に懸念があると説明しています。
- 研究上の目安を、廃園判断でどの程度重く扱うのか。
- 少人数で可能な教育と難しくなる教育を、具体的にどのように評価したのか。
- 21人未満なら廃園しなければならないという国の法的基準は確認できません。12人であること自体が設置基準違反だとする資料も確認できません。
要配慮児の受け皿は実際に確保されているのか
補助制度や相談窓口があることと、希望する園へ実際に入園できることは別です。
- 市は2025年度から私立幼稚園等要配慮児童受入支援補助金を始めています。
- 補助対象には心身障害児、医療的ケア児、通所受給者証の交付を受けた幼児等が含まれます。
- 補助制度と就園相談体制の充実により、特別な配慮を必要とする子どもの支援体制は整ったと説明しています。
- 各園が受け入れられる人数と支援ニーズの範囲はどの程度か。
- 入園を断られた場合の代替先、通園距離、送迎、保護者負担をどう支えるのか。
- 公立園が担ってきた受け皿を民間園だけで代替できるか。
- 園別の受入可能人数、受入困難となった件数、希望する家庭に実際の選択肢が確保されるかを示す集計は、今回確認した資料には掲載されていません。
附属園が担ってきた教育研究機能をどう残すのか
支援センターという組織が残ることと、園児・保護者・教職員がいる実践現場を残すことは同じではありません。
- 幼児教育支援センターは、研修、相談、幼保小連携、架け橋期カリキュラム、幼児教育アドバイザーなどの事業を実施しています。
- 市は附属園廃止後も支援センターを継続するとしています。
- 市内全体の幼児教育の質を高める中枢として、施設類型を問わない研修や相談を進める方針です。
- 附属園で行ってきた実践研究を、どの園・施設・体制で継続するのか。
- 教職員研修、モデル的実践、幼保小連携に必要な継続的な観察・検証の場をどう確保するのか。
- 附属園に代わる具体的な実践協力園、検証方法、成果公開の仕組みは、今回確認した議案資料では明示されていません。
廃園後の施設や跡地をどうするのか
公共施設を廃止する場合、その後の利用と費用も判断材料になります。
- 委員長報告には、質疑時点で廃園後の具体的な活用方針や取り壊しを含む方向性は未定だったとの討論が記録されています。
- 幼児教育支援センターは継続する方針ですが、附属園の建物・敷地の具体的な扱いは議案資料に記載されていません。
- 建物を継続利用、転用、改修、解体するのか。
- 維持管理費、改修費、解体費、跡地利用をいつ示すのか。
- 2026年7月13日時点で、廃園後の建物利用や跡地利用の確定方針は、確認した公式資料からは確認できません。
保護者や関係者との対話は十分だったのか
方針の内容だけでなく、説明・意見聴取・意思決定の過程も審議上の争点になりました。
- 2023年には廃園方針案へのパブリックコメントが行われ、市の考え方が公表されています。
- 2026年5月28日の教育委員会会議では、市長への意見申出に関する議案として審議され、当初は非公開扱いでした。会議概要は後日公表されています。
- 教育委員会は、意見申出を非公開とした根拠や、議案提出後に会議録を公開する運用を委員会で説明しています。
- 保護者や関係者へ、今回の条例案をどの段階でどのように説明したのか。
- 聞き取った意見を政策へ反映する仕組みがあったのか。
- 2024年の陳情採択後に、どのような協議と検討を行ったのか。
- 保護者・関係者との協議回数、参加者、意見と対応の一覧は、今回確認した議案資料にはまとまって示されていません。
VOTE RECORD
5. 教育福祉委員会と本会議の結果
継続審査を求める動議と、議案第37号そのものの採決は別です。何に対する票かを分けて見る必要があります。
| 日付 | 会議 | 対象 | 結果 | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年6月17日 | 教育福祉委員会 | 継続審査を求める申し出 | 賛成1・反対4で否決 | 委員会として、この段階で審査を持ち越す申し出は認めませんでした。 |
| 2026年6月17日 | 教育福祉委員会 | 議案第37号の原案 | 賛成2・反対3 | 委員会は議案第37号を「否決すべきもの」と決定しました。公式の委員長報告と議決結果一覧で2対3を確認できます。 |
| 2026年6月24日 | 本会議 | 議案撤回を求める動議 | 賛成多数で可決 | 議会は市長に議案第37号の撤回を求めました。市長は撤回しないと表明しました。 |
| 2026年6月24日 | 本会議 | 継続審査・教育福祉委員会への再付託を求める動議 | 賛成多数で可決 | 市長が撤回に応じなかったため、最終採決を行わず、今後も委員会で審査することになりました。 |
継続審査を求める申し出
委員会として、この段階で審査を持ち越す申し出は認めませんでした。
議案第37号の原案
委員会は議案第37号を「否決すべきもの」と決定しました。公式の委員長報告と議決結果一覧で2対3を確認できます。
議案撤回を求める動議
議会は市長に議案第37号の撤回を求めました。市長は撤回しないと表明しました。
継続審査・教育福祉委員会への再付託を求める動議
市長が撤回に応じなかったため、最終採決を行わず、今後も委員会で審査することになりました。
HOW IT WORKS
6. なぜ委員会で否決されたのに継続審査なのか
委員会は、担当分野の議案を詳しく審査し、「可決すべき」「否決すべき」などの審査結果を本会議へ報告します。しかし、条例案を最終的に決める権限は本会議にあります。
今回は委員会が「否決すべきもの」とした後、本会議で議案撤回を求める動議が賛成多数で可決されました。ただし、この動議の可決だけで市長提出議案が自動的に撤回されるわけではありません。市長は撤回しないと明言し、議案は本会議に残りました。
そこで議員側から、議案を継続審査とし、教育福祉委員会へ再付託するための動議が提出されました。これが賛成多数で可決されたため、本会議は廃園案をその場で可決・否決せず、審査を続けることになりました。継続審査は単に本会議が最初から選んだ処理ではなく、市長が議会の撤回要求に応じなかった後、議員側が改めて提案し、可決された結果です。
委員会で詳しく審査
教育福祉委員会が市の説明を聞き、質疑・討論・採決を行いました。
委員会は否決すべきと報告
議案本体は2対3となり、否決すべきものとの審査結果になりました。
本会議が議案撤回を要求
森田洋一議員が議案撤回を求める動議を提出し、賛成多数で可決されました。
市長が議案撤回を拒否
井崎市長は「議案第37号について撤回する考えはございません」と表明し、議会の撤回要求に応じませんでした。
議員側が継続審査・再付託を提案
おだぎりたかし議員が継続審査と教育福祉委員会への再付託を求める動議を提出し、賛成多数で可決されました。
PAST PETITIONS
7. 2024年に採択された2件の陳情
附属幼稚園の廃園方針の見直しを求める陳情
- 本会議:
- 賛成18・反対7・棄権2で採択
- 意味:
- 議会が、廃園方針の見直しを求める陳情の趣旨を妥当と認めました。
流山市における公立幼児教育施設の存続を求める陳情
- 本会議:
- 賛成18・反対9で採択
- 意味:
- 附属幼稚園を当面存続させ、公立幼児教育施設を何らかの形で残すことを求める陳情を採択しました。
陳情の採択は、市に条例案の提出を法的に禁止するものではありません。ただし、議会が見直し・存続を求める意思を示した重要な経過です。採択後、市と教育委員会が何を検討し、なぜ今回の廃園議案提出に至ったのかは、今後の審査で具体的に確認すべき点です。
WHAT TO CHECK NEXT
8. 今後の審査で確認すべきこと
結論だけでなく、次の項目に具体的な資料や説明が示されるかを確認すると、審査の進展を追いやすくなります。
- 廃園判断に用いる園児数の基準と対象期間は何か。
- 廃園以外の改善策をどこまで比較・検討したか。
- 3年保育、給食、預かり保育、通園支援の検討結果は何か。
- 要配慮児を私立園等で実際に受け入れられる人数は何人か。
- 私立園等で受入困難となった場合、市はどのように対応するか。
- 附属園が担ってきた実践研究機能を、どの施設・体制で代替するか。
- 保護者、関係者、地域との協議を今後どのように行うか。
- 廃園後の施設・建物・跡地をどのように利用するか。
- 廃園、存続、改善の各案に必要な費用をどう比較したか。
- 2024年の2件の陳情採択を政策へどのように反映したか。
- 人口動態や入園希望が変化した場合に判断を見直す仕組みはあるか。
- 次回の委員会日程、追加資料、最終採決の時期はいつか。
TIMELINE
9. これまでの時系列
教育委員会が廃園方針を可決
附属幼稚園の廃園方針が教育委員会会議で可決されました。
廃園方針の見直しを求める陳情を採択
本会議で賛成18・反対7・棄権2により採択されました。
公立幼児教育施設の存続を求める陳情を採択
本会議で賛成18・反対9により採択されました。
在園児数は12人
市資料では4歳児4人、5歳児8人、合計12人とされています。
議案第37号を提出
2027年度末で附属幼稚園を廃止する条例改正案が第2回定例会へ提出されました。
教育福祉委員会が否決すべきものと決定
継続審査の申し出は1対4で否決。議案本体は2対3で否決すべきものとなりました。
議会が撤回を要求、市長は拒否
本会議は議案撤回を求める動議を賛成多数で可決しましたが、市長は撤回しないと表明しました。
継続審査・教育福祉委員会への再付託を可決
市長が撤回に応じなかったため、議員側から改めて継続審査と再付託を求める動議が出され、賛成多数で可決されました。
教育福祉委員会で再審査
次回日程と追加資料は、流山市議会の正式な案内で確認する必要があります。
PRIMARY SOURCES
10. 公式資料
記事の根拠は、流山市、流山市議会、文部科学省の一次資料を優先しています。PDFは内容やURLが更新される場合があります。
最終確認日:2026年7月13日。委員会・本会議の映像は議会公式の中継入口から確認できますが、録画映像・音声自体は公式記録ではない旨が議会サイトに明記されています。